Jun Hashimoto

# 第十八話 決めるという仕事

デザインの仕事は、作る事だと思われています。

でも実際は、決める仕事です。

この生地にするのか。

この色にするのか。

ポケットは付けるのか。

ボタンは何ミリにするのか。

ステッチは見せるのか隠すのか。

毎日そんな事ばかり考えています。

一つ決めれば終わりではありません。

一つ決める度に、他の選択肢を捨てる事になります。

だから決める事は、選ぶ事以上に難しい。

「こっちでも良かったかもしれない。」

そんな気持ちはいつもあります。

でも仕事は待ってくれません。

決めなければ前に進まない。

デザインだけではありません。

経営も同じです。

新しい事業を始めるか。

設備に投資するか。

人を採用するか。

価格を変えるか。

毎日何かを決めています。

人生もきっと同じです。

進学も就職も結婚も引っ越しも。

決めるという事は、一つの未来を選び、他の未来を手放す事なんだと思います。

だから疲れる。

正直、決断は好きではありません。

出来る事なら、もう少し悩んでいたいと思う事もあります。

でも悩み続けても、何も変わりません。

最後は自分で決めるしかない。

僕は服を作る時、最後は感覚を信じます。

何万種類もの生地を見てきた経験。

何千着も作ってきた経験。

何度も失敗してきた経験。

それら全部を信じて決めます。

もちろん間違える事もあります。

でも決めなければ、その失敗さえ経験にはなりません。

良い決断をする人がいるのではなく、決断した後に、それを良い結果へ変えていく人がいる。

最近はそんな風に思っています。

だから今日もまた、一つ決める。

それが僕の仕事です。