Jun Hashimoto

# 第十六話 飽きない服は作れるのか

服を作っていると、よく考える事があります。

「飽きない服って作れるんだろうか。」

もちろんどんな服でも飽きる時はあります。

でも、その"飽き"には二種類ある気がしています。

一つは流行が終わったから着なくなる服。

もう一つは、何年経ってもクローゼットから自然と手が伸びる服。

この違いは何なんだろう。

僕はずっと考えてきました。

デザインが派手だから飽きるのか。

色が強いから飽きるのか。

もちろんそれもあると思います。

でも一番大きいのは、服が自分の生活に馴染んでいるかどうか。

そこなんじゃないかと思っています。

毎朝、何も考えずに手に取る服。

旅行にも持って行く服。

気付いたら一番着ている服。

そんな服って、不思議とシンプルな物が多い。

でもシンプルだから作れる訳ではありません。

シンプルな服ほど、素材もシルエットも縫製も全部見えてしまう。

誤魔化しが効かない。

だから難しい。

以前書いたように、僕は服は時間と共に完成する物だと思っています。

だからデザインも、その瞬間の格好良さだけではなく、一年後、五年後も着たいと思えるかを考えます。

流行は変わります。

好みも変わります。

でも、何度着ても「やっぱりこれ良いな」と思える服がある。

僕はそんな服を作りたい。

長持ちする服ではなく、長く着たくなる服。

この二つは似ているようで全然違います。

僕が目指しているのは、時間が経っても飽きない服ではありません。

時間が経つほど、もっと好きになる服です。