Jun Hashimoto
# 第十四話 個性は作るものではなく、滲み出るもの
「もっと個性を出した方が良いですよ。」
デザイナーをしていると、そんな言葉を掛けてもらう事があります。
もちろん間違ってはいません。
ブランドには個性が必要です。
でも僕は、個性って無理に作る物ではないと思っています。
個性を出そうとすると、色を増やしたくなる。
デザインを増やしたくなる。
ディテールを増やしたくなる。
でも、その足し算を続けると、何を伝えたい服なのか分からなくなってしまう事があります。
以前も書いたように、僕は素材を主役にしたいと思っています。
だからデザインは出来るだけ静かで良い。
色も出来るだけシンプルで良い。
そうやって余計な物を削っていくと、不思議な事に素材の個性が見えてきます。
そして、その積み重ねがブランドの個性になっていく。
だから僕は、個性的な服を作ろうとは思っていません。
僕が作りたいのは、僕らしい服です。
その積み重ねが、結果として「あのブランドらしいね」と言われるようになれば、それが本当の個性なんだと思っています。
流行は誰でも追う事ができます。
でも、自分らしさは積み重ねるしかありません。
だから今日も特別な事はしません。
素材を見て、形を考え、必要のない物を削る。
その繰り返しです。
個性とは、足して作るものではなく、続けた先に自然と滲み出るものなんだと思っています。