Jun Hashimoto

# 第九話 生地はスペックで選ばない

最近の生地は本当に凄いと思います。

ストレッチ、防シワ、接触冷感、吸水速乾、UVカット、昔では考えられなかった機能が当たり前のように付き、混率を見てもポリエステルやナイロンが入っているとは思えないくらい天然素材に見える物も増えてきました。

技術の進歩には本当に驚かされます。

でも僕は、そのスペックを見て生地を選ぶ事は殆どありません。

もちろん参考にはします。

でも判断基準ではありません。

例えば「ウール100%」

この表示だけ見て良い生地だとは思いません。

同じウール100%でも、原料、糸の紡績方法、織り方、整理加工、その違いだけで全く別の生地になります。

逆にウール50%、ポリエステル50%。

数字だけ見たら敬遠する人もいるかもしれません。

でも実際に見ると「これ本当にポリエステル入ってるの?」と思うくらい天然素材に見える生地もあります。

だから僕は混率を見るのも最後。

まず見る。

雰囲気を見る。

触る。

ドレープを見る。

光の反射を見る。

服になった姿を想像する。

そこまで見て「この生地良いな」と思えたら初めて混率やスペックを確認します。

「あれ?これポリエステル入ってたんだ。」

そんな事は今でもよくあります。

以前も書きましたが、僕は天然繊維を基準に生地を選んでいます。

でも天然繊維100%だから選ぶ訳ではありません。

混率がどうであれ天然素材のような雰囲気を持ち、その服を一番格好良く見せてくれるなら迷わず採用します。

だから僕にとってスペックは答えではなく参考資料。

服を格好良くするのはスペックの数字ではなく、生地そのものが持っている雰囲気です。

スペックは生地を説明してくれます。

でも、生地の魅力までは説明してくれません。

だから今日も僕は、スペックを見る前に生地を見ています。